個人的 パーカー音源紹介 6
録音音源:
1947年12月17日 DIAL でのスタジオ録音
主な収録CD:
STASH「THE COMPLETE DIAL SESSIONS」
東芝EMI「The Complete Dial Recordings」
1947/12/17
(as )C.P.
(tp )Miles Davis
( P )Duke Jordan
( b )Tommy Potter
(ds )Max Roach

  1. Drifting on a Reed (+ 2 takes)
  2. Quasimodo (+ 1 take)
  3. Charlie's Wig (+ 2 takes)
  4. Bongo Beep (+ 1 take)
  5. Crazeology (+ 3 takes)
  6. How Deep is the Ocean (+ 1 take)
CHARLIE PARKER STORY ON DIAL Vol.2

 なんだか、パーカーのスタジオ録音をないがしろにするようなことを私は今まで述べているような、そんな気がしてますが、そんなことないです。SAVOYで目覚めてDIALで育った、その義理はわすれちゃぁいません。

 さて、DIAL。わたしがジャズを聞きはじめたごく初期にマスターテイク集(ほぼ)の、東芝EMI「CHARLIE PARKER STORY ON DIAL Vol.1 ,2」を, CDレンタルで借りてテープにダビングして楽しんでいたことを思い出します。初めて聞いたときの印象が「むちゃくちゃ汚ねえ音だな」というものでしたが、パーカーの中では最良の録音だったんですねぇ。
 ハードバップあたりのサウンドが自分にとって最初のジャズのイメージだった当時、その録音とあいまって「ちょっと古めのジャズだな」と思いながらも、身体を突き動かすようなその気持ち良さにひたってました。

 気持ち良くひたるのはいいのですが、豊かなサウンドが際限なく放出されて刹那的に葬られていくそのできごとの重さ、そしてその瞬間のエネルギーのまぶしさには、SAVOYの「Warming Up A Riff」に感動するまで、気づいていませんでした。

 それにつけても「Crazeology」、なんでわざわざエネルギーを放出してしまうのに、このような切迫感をもたなければならないのでしょう。ここで私のいうテイクはA~DのうちのCテイクなのですが、この曲では、放出されるエネルギーをなんとかそのままの質量で私たちの身体へぶつけようとする、パーカーの意志が感じられるような気を起こさずにいられません。

 全体的にこの日の録音を見てみると、ほぼ鉄壁と化したパーカークインテットにJ.J.ジョンソンのトローンボーンが入り、DIAL全録音のなかでも、最後の収録だけあって隙のない演奏だとおもいます。
 トロンボーンという楽器でグループに溶け込んでしまうJ.J.ジョンソンは凄いと思うし(他の人にはまず無理だろうに)、マイルスはパーカーのグループの中で欠かせない大きな存在になりつつあるし、ジョーダンのピアノは「ピラリラリン」と気持ち良い。
 曲でいうと、最近、なぜか「Bongo Beep」のちょっぴり無理のあるテーマメロディーに惹かれはじめてます。  

 これらの演奏を聞いて育ってきたことがあるので、DIALの録音でマスターテイクなどを集めたものが、まずはパーカー初心者に薦められるのではと私個人としてはおもいます。

 

 

1999. 3. 9 よういち 


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by CMG Worldwide Inc. USA

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