個人的 パーカー音源紹介 48
録音音源:
1953年 5月 25日 Verveでのスタジオ収録
主な収録CD:
Verve「CHARLIE PARKER Big Band」
「THE COMPLETE CHARLIE PARKER ON VERVE」
1953/ 5/ 25
(as )C.P.
and Orchestra
(arr)Gil Evans
and Singers
(arr)Dave Lambert
  1. In the Still of the Night ( x7 takes)
  2. Old Folks ( x9 takes)
  3. If I Love Again
Big Band


 バリバリとワンマンソロを吹きまくるパーカーが良いのはいうまでもないのですが、サイドにまわってこっそりとすごいオブリガートをつけているパーカーもとてつもなく気持ちいいものです。この音源ではデイブ・ランバートを中心としたコーラス隊のサイドで吹きまくるパーカーを最良の音質でぞんぶんに楽しめます。

 この時期になると以前のように面白みのあるフレーズが出てくるわけではないのですが、逆にパーカーおなじみのフレーズの切れ味をひたすら無心に味わうことが出来ます。音質もサックスの切れ味の生きてくるクリアさと残響感のあるもので、はじめてパーカーを聴く人にも安心してお勧めできます。
 「In the Still of the Night」「If I Love Again」でコーラスの背後を駆け巡るパーカーのアルトの疾走感を、味わいましょう。

 ところでこの音源ってよくみるとものすごくテイクを重ねているんですよね。
 別テイクを含めたコンプリート版を聴くとかなり苦闘していたことがうかがえます。コーラス隊がなかなかテンポをあわせることができない。「In the Still of the Night」の最初の方のテイクなどテンポが速すぎてまるでバラバラ。パーカーにとっては余裕のテンポなのですが、エンジンを全開にしていこうとしたとたんにコーラスが追いつかず中断されてしまいます。
 テイクを重ねるごとに徐々にコーラスがついていけるテンポへ調整されていきますが、それでも「Old Folks」も含めて、コーラスがそろわなかったりなんだかんだあって1分もたずに中断されるテイクがかなり多い。全テイクを通じて聴いているとだんだんみんな疲れてきて緊張感が散漫になってきて、だんだんスタジオの雰囲気全体がねっとりとしてくる様子がうかがえます。
 そんな中で疾走感と切れ味を失わずにサックスを吹きつづけるパーカーのスタミナにほとほと感心します。

 こうしてテイクを重ねていく様子を鑑賞してからあらためて本テイクを聴いてみると、パーカーはまだこれでも周りにあわせて抑えて吹いているのかなとおもえてきます。

 

 

2001. 6.23 よういち 

 

 

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by CMG Worldwide Inc. USA

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